街をぶらぶら

1999.3.14

 もうこれといって観光するような名所はなかった。街をぶらぶら歩 こうと思った。
 まずは親切なホテルの従業員推薦のお店でカバンと財布を購入。土産物をたくさん持って帰るために、もう一つぐらいカバンが必要だろ うと思って買った。しかし、結局そんなにたくさんの土産物を買わなかったし、日本に持って帰ってきてみれば、恥ずかしいデザインなの であまりそれを持って出かけようとは思わない代物だった。観光地のお土産ってだいたいそんなもんだ。買って失敗することがよくある。

 それから、リクシャーのローシャンという人と、だいぶ長い間喋った。一時間は喋ったと思う。
 インド人が日本人観光客を獲得する手段の一つに、日本人からもらった手紙や写真を見せて安心させて、仲良くなろうとするというもの がある。彼の手段もそれだった。そしていつものように質問責め。
「What are you doing ?
How long stay in India ?
Are you married ?
Do you have a girl friend ?
How many girl friend ?」
 どのインド人も質問することはだいたい同じで、これらの内容はまず質問してくる。そして、最後の「How many girl friend ?」という質問に対し、私のように「I have one girl friend?」と答えると、インド人は「Only one!???」と言って非常にびっくりする。私が「単なる友達ではなく恋人のことだよね?」と再確認すると、「そうだ」と返事が返ってくる。
 それから彼は、家族というものについて熱心に私に語った。
「君はgirl friendにお土産を買おうとしているだろう?」
「うん、買ったよ。」
「高価な物を買ってはダメだ。安い物を買いなさい。プレゼントをすれば、それが彼女の恋愛の目的になってしまう。君にお金がなくなれ ば、女はすぐに君の元から去ってしまう。しかし、家族は違う。君は両親にプレゼントをするべきだ。両親にプレゼントは買ったか?」
「いや、まだだけど・・・」
「それではだめだ。買いなさい。家族は永遠のものだ。決して裏切ることがない。家族は大事にしなさい。」
 さてはそうやってどこかのお店に連れて行って物を買わせる気だな…と私は考えていたが、彼は決して私をどこかのお店に連れて行こう とはしなかった。真剣に説教されてしまった。

 昼からは洋服屋で買い物をしたりしてから、歩きつかれて公園でポケーっと少年たちのクリケットを観戦していた。すると青年が隣に 座ってきた。インド人って本当に人なつっこい。座ってたりしたら、必ず誰かが寄ってきて喋りかけてくる。会話好きなのか、暇なのかわ からないが、相手にしてくれてこっちも悪い気はしない。
 しかし、彼はまったく英語を喋ることも聞き取ることもできないようだった。英語が喋れないからといって欧米人と会話するのを尻込み する日本人とは大違いだ。インド人ってなんかすごい。こうなったら私もヒンドゥー語で会話するしかない。
 ともかく『地球の歩き方』に載っているわずかばかりのヒンドゥー語単語集を頼りに会話せざるをえなかった。それに加えて身振り手振 りでいろいろとコミュニケーションをはかり、かれこれ一時間。一時間経ってもたいした内容は喋っていない。理解できたことといえば、
「あなたの名前は?」「結婚しているか?」「SEXは好きか?」
の3つ。うち2つは定番の質問。しかし三番目の質問にいたっては、意思疎通の図りにくい初対面の相手に聞くことかどうか甚だ疑問 だ…。もしかして誘ってたのか…? 同性愛者?
 大多数の庶民は英語を喋ることができないという。ヒンドゥー語をもう少し勉強しておけば、もっと旅が面白くなっただろうと思う。

 夕食はホテルの近くのChit Chatというレストランでとった。
 そこに一枚の張り紙があった。E-mailの宣伝であった。
「E-mail、internetを使用したい方は、店員にお伝え下さい」
と書かれている。店員に聞くと、
「OK。電話で確認してみるからちょっと待っててくれ」
との返事。さっそく彼が電話して、どうやらオッケーの返事がもらえたらしい。
「バイクで行くから、後席に乗って。」
 そう言われて、おっちゃんの後ろに乗って連れて行かれた。2kmぐらい走って、とある民家の前でバイクは止まった。ドアをノックす るとおばちゃんが中から現われて、中へ招かれた。部屋には電化製品や家具が置かれ、それなりに裕福な家庭であることがうかがえる。少 年がパソコン画面に向かってインターネットをやっている。少年は、私が来たことに気づいて、私にその席を空けてくれて、操作方法を説 明してくれた。3月14日といえばホワイトデー。日本のgirl friendにメールを送った。ちょうどいいタイミングでメールを送ることができてよかった。※15
 少年に代金40ルピーを払った。彼はインドでは裕福な家庭の少年で、小遣い稼ぎのために、パソコンを我々外国人観光客などに使わせ ているのだろう。なかなかいい商売だ。

※ 注
(15) このメールは彼女に届きませんでした。理由は不明・・・残念。


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