ローカルバスの旅

1999.2.28

 朝6時にブッダガヤを出て、バナーラスには昼頃に着く・・・はず だった。
 バスの車体はかなりぼろい。車内はぎゅうぎゅうづめ。天井にも人と荷物が乗っている。それにもかかわらず、車掌は、私たちが外国人 だからだろうか、ちゃんと席を空けておいてくれて、そこに私たちを案内してくれた。バス代は65ルピーだった。
 私の座った席は最悪だった。イスがなかった。というとちょっと語弊があるが、クッションがなくて板がむき出しになっていて、しかも 一部板が剥がれていた。座りにくいったらありゃしない。私は換えのズボンを下に敷いて、痛くならないようにしてバスの長旅に耐えるこ とにした。
 本来あるはずの側面の窓ガラスはない。砂埃が容赦なく入ってくる。でもこの点に関しては私はこの席が気に入っていた。外の景色を十 分に楽しむことができた。水田や山の風景、ラクダの群れ、野グソをする人々、リクシャー同士の喧嘩、交通事故。これなら見ていて飽き ないような気がした。まさに田舎を走っているという実感が湧いてきた。ただ一つだけとても気になったことがある。野グソをしているイ ンド人の金玉はなぜかでかい。バスの車内から見た金玉は、例外なく大きかった。あれではズボンをはいてもふくらんでしまうのでは、と いらぬ心配をしてしまった。謎だ。インド人は皆、あんなに金玉が大きいのだろうか・・・。


休憩場所での様子。バスの屋根にも人がいっぱい!

 バスは時々休憩をとりながら走っていく。止まるたびに、落花生や お菓子やチャーイを売りにやってくる。朝食もとらずにバスに乗り込んだ私たちにとってそれはありがたいものだった。お昼ご飯も休憩タ イムの時に調達した。

 お昼が過ぎてしまった。しかし、バナーラスにはまだ着かない。同じような体勢で長時間座っているというのはけっこう辛いものがあ る。車内が混雑していて、隣の人と密着しているもんだから、容易に体を動かすこともできない。こんなときに下痢にでもなったら最悪 だ、と思いながら座っていた。体調がよくてよかった。

 結局バナーラス駅前についたのは、午後4時頃だった。これぐらいの時間の遅れなら許せる。日本だったら許せないが、ここではそれぐ らいの遅れなら上等だろう、と思った。
 そこから、私、今安くん、探検部の彼、の三人は一緒にオートリクシャー※6をつかまえて、ホテルに向かうこ とにした。私たちはガンジス川の近くにある繁華街として有名なダシャーシュワメード・ロードに行くよう指示した。値段は3人で15ル ピーで交渉成立した。安い値段で交渉が成立したことに喜んだ。
 が、ここもやっぱり観光地。甘くはなかった。英語の達者な男がドライバーの隣に乗りこんできた。実に怪しい。男はなれなれしく話し かけてくる。
 そして思ったとおりだった。まともな所には連れていってくれなかった。着いた所は怪しげなぼろいホテルの前。
「ここならガンジス川から近い。一泊10ルピー。見るだけでいい。ノープロブレム!」
 その手できたか!誰がだまされるものか!しかし、私以外の二人は、一泊10ルピーという言葉にクラッときたのか、「見るだけ見てみ ようか。」という雰囲気だ。いかん!これでは奴の術中にはまってしまうぞ。だいたい男は「ガンジス川はあっちだ。」と言って、太陽の 方向を指差していた。つまり、西。おかしい!ガンジス川は東にあるはずだ。それに、駅からそんなに走ったとは思えない。付近にツーリ ストも見あたらない。もしかしたらガンジス川から遠いんじゃないだろうか。そんな気がして、私は彼ら二人をおいてでも立ち去ろうとし た。すると彼ら二人も私の行動に同意してくれたのかついて来てくれ、リクシャードライバーに15ルピーを渡して立ち去ることができ た。ホテルの従業員二人が二階から「おいで、おいで」と手招きしていた。
 そこから、東へ歩く。けっこう歩いた。やがて大通りに出て、近くを歩いていた日本人に場所を聞いたら、やっと現在地を知ることがで きた。やはりさっきの10ルピーのホテルはガンジス川からも駅からも遠いホテルだった。自分の判断が正しかったことがわかり、ほっと した。
 その後、声をかけられたビッキという少年に連れられて、Puja Guest Houseというホテルに私たちは泊まることにした。迷路のような街並みだった。とても一人ではこの宿にたどり着けなかっただろう。建物と建物の間が2mほどの道を進み、 牛の妨害を避けながら歩いていった。ホテルは、ガンジス川のすぐほとりにあり、川を見渡せる斜面に建っていた。屋上にはレストランが あり、そこからガンジス川とバナーラスの街並みを見渡せることができた。ドミトリーで一泊40ルピー。やたらと日本人旅行者が多いの が気になるが、なにより屋上からの景色が気に入ったので、ここにしばらく滞在することに決めた。ドミトリーの住人は全員日本人学生 だった。べつに日本人同士で集まりたいわけでもないのだが、この卒業旅行シーズンに日本人と会わないようにする方が難しいのかもしれ ない。


ホテルの入口前に牛!この牛の横を通らないとホテルに入れない…

 気に入ったホテルだったが、一つだけ気にいらないところがあっ た。屋上レストランで注文した料理が出てくるのが非常に遅いのだ。ドミトリーのみんなと一緒に食べることになったのだが、全員の料理 が出そろったのは、注文してから1時間以上経過してからだった。遅い、遅すぎる! 関西人としては黙っちゃいられない。
「注文した料理はいつできあがりますが?」とウェイターに聞くと、「今作っているところです。」と返事。
 うそつけー! めっちゃ暇そうに働いてるやないかー!! でもこれがインドなんだろうな。郷に入りては郷に従うしかなさそう だ・・・。

※ 注
(6) オートリクシャー・・・三輪の自動車タクシーのこと。

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