（ペーパークラフト）  01.jpg "稲荷山鉄剣01") 02.jpg "稲荷山鉄剣02") 03.jpg "稲荷山鉄剣03") 以前作った稲荷山古墳出土金錯銘鉄剣を失くしてしまいました…。学校の書庫のどこかに眠っているのかもしれませんが、未だ発見されません。（泣） そんなこともあって、また同じものを作っても芸がないので、今度はペーパークラフトで作ってみました。そして、今度は文献をもっと調べて、 柄（つか）、鍔（つば）、鞘（さや）なども想像で作りました。 設計図もダウンロードできるようにしましたので、興味のある方は是非作ってみてください。 【設計図】 ・PDF１枚目（A３サイズ）のダウンロード ・PDF２枚目（A３サイズ）のダウンロード ・PDF３枚目（A３サイズ）のダウンロード ・PDF４枚目（A３サイズ）のダウンロード これ以外にも、使用済みでよいので、A３サイズのコピー紙が10枚くらい必要です。 【作り方動画】 作り方動画１ 作り方動画２ 作り方動画３ 【外装のデザインの根拠】 稲荷山鉄剣は、刃の部分しか出土しなかったので、それ以外の外装（握る部分や鞘など）については、以下の文献を根拠とした、私の勝手な想像です。自信がありません。私は、ただの中学＆高校教師です。もしどなたか、このページをご覧になった専門家の方がいましたら、私の想像の間違っている点を指摘して頂けるとありがたいです。 �”枸碓篝廚�ら出土した把（つか）にそっくりで、把縁（つかぶち）に突起があるタイプにした根拠 「有段有突起型B類については確実な資料が、豊中大塚古墳や亀山1号墳、珠金塚古墳、茶すり山古墳から出土しており、中期に至って登場したものと考える。（岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年、p.18） 「有段有突起型B類には、福井県河合寄安遺跡出土例のように未製品と考えられるものが近畿地方以外に存在する。河合寄安遺跡だけでなく、有段有突起型B類が盛行する古墳時代中期に属する各地の低湿地遺跡で刀剣装具が出土する。主だったものには、河合寄安遺跡のほか、三重県六大A遺跡、奈良県布留遺跡……などがある。……有段有突起型B類は中央と地方を含めた首長間関係のなかで広く採用され、普及したものと考える。」（岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年、p.22） ��把頭（つかがしら）を円柱形、把縁と把頭を黒色、把縁と把頭の一部に直弧文（ちょっこもん）を刻んだ根拠 「把縁に明瞭な段や凹線を多用し、かつ平面形が左右対称形ではなく、片側に突起をもつ例を有段有突起型とよぶ。なお、有段有突起型には、把頭が撥形のものと、円柱形のものとがある。前者をA類、後者をB類とする。…有段有突起型B類は、置田分類の円柱形に該当する把頭をもつ（置田1996）。把縁の段差や凹線など細部までA類と共通する。良好は遺存例では、把縁と把頭に黒漆を塗る例が目立つ。また、把縁の一区画に直弧文を配する例も多い。さらに、把頭が残る例ではここにも直弧文をほどこす。（岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年、p.7-13） 「把縁の文様が鉄刀では方形文様や段状の文様を多用するのにたいし、鉄剣は直弧文を多用する…」（岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年、p.19-20） �Ｇ帖覆弔�）に紐が巻かれている根拠 「把の固定や把握時のすべり留めのために、布や糸、組紐を把間に巻きつけるものがある。布は折った細い帯状のものであることが多い。……組紐は、芯となる繊維の束２本を別の繊維でたすきがけにし、さらにその外周にも繊維をめぐらせることで１本の繊維とする例がほとんどである。」（岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年、p.3-4） �で脹錙覆弔�ぶち）の一部が鞘口のなかにおさまる根拠 「鞘口の残る古墳出土例では、把縁を一部覆うものがほとんどである。なかには、鞘口を把縁で受けるために、把縁に段差を設けるものがある。（岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年、p.4） 「鞘口は鞘身とは別づくりの木製であり、把縁とは小口面どうしが接する。これまでに確認した限り、挿し込み式の例では把縁は鞘口のなかば部分的におさまるものしか確認していない。……有段対称型と有段有突起型は把縁の一端を一段低く削り出し、この段差を利用して鞘口を受ける」（岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年、p.17） �ゾ筝�の形や模様の根拠 保存状態のよかった布留遺跡出土の鞘をモデルにしました。（置田雅昭「古墳時代の木製刀剣鞘装具」『考古学雑誌 第71巻第1号』日本考古学会、1985年、p.27-28の図） �δ掌綿犬離妊競ぅ� これに関してはまったく想像できないので、石船山古墳、経の塚古墳、宝石山古墳で出土した刀剣装具の直弧文を真似ました。（伊藤玄三『直弧文 考古学ライブラリー28』ニュー・サイエンス社、1984年、p.43-45） 【使用したアプリ】 ・Adobe Illustrator CS6 … 設計図の作成用 ・Metasequoia 4 … 複雑な図形をペーパークラフトにすることができました。 04.jpg)
05.jpg) 【参考文献、ホームページ】 ・岩本崇「古墳出土鉄剣の外装とその変遷」『考古学雑誌 第90巻第4号』日本考古学会、2006年 ・置田雅昭「古墳時代の木製刀剣鞘装具」『考古学雑誌 第71巻第1号』日本考古学会、1985年 ・伊藤玄三『直弧文 考古学ライブラリー28』ニュー・サイエンス社、1984年 ・西平孝史「彫ってわかった石彫A型・B型直弧文の構図原理」『考古学研究 第69巻第1号（通巻273号）』考古学研究会、2022年 ・東京国立博物館編『東京国立博物館所蔵 骨角器集成2 鹿角製刀剣装具篇』東京 国立博物館、2013年 ・埼玉県立さきたま史跡の博物館 … 国宝「稲荷山古墳出土金錯銘鉄剣（ホンモノ！）」が展示してあります。柄の形などの相談に乗って頂きました。 ・「布留遺跡・古代の刀」『天理参考館この一品』(19) … 布留遺跡の出土品を紹介する動画です。この動画にある柄をかなり参考にしました。 ・乙訓の文物復元！ … 奈良県天理市の布留遺跡で出土した刀剣についてとても詳しい解説が載っています。勉強になりました。ありがとうございます。  |
