手作りの世界史実物教材

トガ(古代ローマ人の正装)

"Cedant arma togae."
――武器はトガに譲るべし(軍服はトガに服すべし)――
by キケロ『義務について』

 

(撮影協力:某有名スナイパー)

 古代ローマ市民がトゥニカ(短衣)の上に着用した平和時の正装であるトガ。現代でいう背広のようなものでしょうか。元老院ではみんなこのような衣装です。ちなみに、奴隷や未成年の市民はトゥニカ(短衣)のままで、市民で成人(17才以上)になると、白いトガ(長衣)を着用します。執政官など高位公職経験者などは、緋色(赤紫)の縁取りのあるトガを着用しました。

 前述の「武器はトガに譲るべし」は、独裁者による支配が大っ嫌いだった共和主義者キケロの言葉です。「将軍は議会(元老院)の指示に従え」ってな意味でしょうね。これを文民統制(シビリアンコントロール)が原則の現代日本風に言えば、「制服組(自衛官)は背広組(防衛庁の官僚)の指示に従え」ってとこでしょうか。

 

元老院の様子。左で喋っているのがキケロ
(出典:wikipedia



【作り方】

 白い布を、横幅は身長の約3倍、縦は身長と同じぐらいの長さの、楕円形を半分にしたような形にしました。この他にも、楕円形を半分に折って使う方法や、もっと複雑な形のトガもあったようです。

 


 安い布で作ったので背景が透けてしまっていますが、本物は透けないと思います。


【着方】

? 〆犬慮?から、半円形の直線部分が首のまわりにくるようにしながら降ろしていきます。これでトガの3分の1の処理が終わります。
 

「俺の後ろに立つな」

?◆〇弔蠅裡格?の2は、左肩から背中にまわし、右腕のわきの下を通って再び左の肩に達し、左肩から背後にマフラーを巻くようにして流します。ただし、布地の量が多いので、左肩から流すにしてもその端は、左腕でささえる必要がありました。
 

「用件を・・・聞こうか・・・」

 初代皇帝のアウグストゥスは、ちょっと気取って以下のような変則的な着方をしています。よく資料集などにも載っている写真です。
 

トガを着た初代皇帝アウグストゥス と トガの着方
(出典:wikipedia


【参考文献・ホームページ】

・塩野七生『ローマ人の物語8 ユリウス・カエサル ルビコン以前(上)』新潮文庫、p.66-70

トガの着方がわかるyoutubeの動画 … この動画のように、古代ローマでも召使奴隷に着せてもらっていたんでしょう。すぐ着崩れしそうですね。