インダス文明の定番教材である「インダス文字が刻まれた印章」を作ってみました。インダス文字は解読されておらず、発掘調査もまだまだこれからのようです。遺跡がインド、パキスタン、アフガニスタンにまたがっていて、インドとパキスタンは国同士の仲が悪いもんだから、研究者が互いの国を行きづらかったり、治安が悪かったり・・・。中には発掘したのになかなか報告書が書かれない例もあるとか。 というわけで当時の様子は、【発見されている遺物】から【当時の社会についての推測】をするしかありません。 ロゼッタストーンみたいに、同じ文章が複数の言語で書かれた物が見つかればいいんですがね〜。 ２．発見されている遺物 � ＾�章 インダス文明の代表的な遺跡、モヘンジョダロやハラッパーからは多くの印章が見つかっています。印面に一角獣などの生物と数文字のインダス文字が刻まれ、裏面に紐を通すためのつまみがあります。だいたいこのデザインです。印面の１辺は平均3〜4cm。モヘンジョダロやハラッパー以外では、メソポタミアやアラビア湾岸からも見つかっています。 �◆”�泥 印章を押印した封泥も発見されています。ただし、封泥の出土傾向と印章の出土傾向は一致していません。 �� おもり モヘンジョダロやハラッパーで、立法体または直方体のおもりと上皿天秤も見つかっています。重さは0.3g〜1417.5gと様々です。
３．当時の社会についての推測
印章とおもりは、一定の法則に基づいて製作されています。そこで、インダス文明を研究されている小茄子川歩さんは、“ある特定の「貨幣」をより広範囲で通用させ、商取引などの場面における経済効率を高めるためには、商品の移動と決済という経済行為上で使用される「貨幣」に「信用」を与える必要がある。両遺物は、そのような役割をになっていたものと考えられる。印章にほぼかならず刻まれているインダス文字も、こうした役割と関連するシステムであったのではなかろうか。”※１ と指摘しています。
４．インダス文明は大河文明ではなかった？ 「エジプトはナイルのたまもの」と古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは言いました。当然「インダス文明もインダス川のたまもの」だろうと思いきや、そうでもなさそうです。次のようなツッコミがあります。 �＾篝廚�大河の近くにないじゃないか！ 確かに有名なモヘンジョダロとハラッパーはインダス川の近くですが、その他に川から離れたところにも遺跡はたくさんあります。 ��大河に依存した作物を生産しているのは限定的じゃないか！ 大河に依存した冬作物（オオムギ、コムギなど）を生産していたのはインダス川流域に限られ、夏のモンスーンによる雨に依存する夏作物（イネ、キビ、アワなど）を生産している地域の方が広いようです。 �２Ω△�弱いじゃないか！ エジプトのピラミッドやメソポタミアのジッグラトのような王墓や記念碑といった建築物が見つかっていません。大河の管理には集団労働が必要で、集団を動かす権力が伴うものですが、インダス文明には王権の強さを示すものが見つかっていません。エジプトやメソポタミアとはちょっと違うんですよね。 ５．製作過程（凍石製） � ―馥擦冷森鑞儖�材（凍石）と印刀を購入。教科書に載っている一角獣のデザインを見本に、印刀で削ります。
�� 耐水ペーパーできれいに磨きます。 �ぁヾ粟�！
※ 本当は最後に「焼成」という工程があります。高温で熱して、石質を変化させることで耐久性が向上するとともに、色調が白っぽくなるそうです。ホームセンター「ジョイフル本田」で焼成してもらおうとしたら、「陶芸以外の目的ではダメ」だと断られました。ガスコンロやオーブンでは900度近い高温は不可能なので、今回は断念しようかな・・・ ・・・と思ったけど諦めきれず、教科書に載っている白っぽい印章を作りたくて、ダイソーで「石粉ねんど」を買ってきて作ってみました。 ６．製作過程（石粉ねんど製） � ．瀬ぅ宗爾嚢愼� �◆［�方体を作って、乾燥させて、削って削って・・・はい、完成。 う〜ん、、、きれいに削れない・・・。やっぱり本物の石の方がきれいかな。
【参考文献・ホームページ】 ※１ 小茄子川歩『インダス文明の社会構造と都市の原理』（同成社、2016年）p.50 長田俊樹『インダス文明の謎 古代文明神話を見直す』（京都大学学術出版会、2013年）  |
